夜と遊ぶ

「綾瀬さん、定年も近付いて来て、ナガやんの事を挙げる事に焦ってて。
うちの組に、以前とは違い直接接触して来て。
そうやって、ナガやんのしっぽを掴む為に、USBの存在をちらつかせてジュニアを揺さぶって。
ナガやんは、そんな時でも冷静だけど、ジュニアは…あんな感じだから。
ほら?ジュニアも実の兄貴の事だから、護りたくて必死で。
綾瀬さんには、もうナガやんを追うなって忠告したんだけど」


深入りし過ぎて、私のお父さんは永倉ジュニアに殺された。


「そのUSBは、どうするの?」


「…どうしよっかな?」

なんとなく、一夜はどうするかもう決めているのではないかと、
その横顔を見ていて、思った。


そして、それは私が踏み込んではいけないのだろう。


「多分、俺が持ってるだけで、綾瀬さん特にコピーとかはしてなかったみたいだから、俺がこれでいつかナガやんを、ってのが、綾瀬さんの望みなんだろう」


お父さんの、望みか。


それほど、一枝さんを逮捕したかったのか。


危険な目に合ってまで。


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