夜と遊ぶ
「薔薇の花どうします?
持って帰るの大変でしょうから、送りますよ?」

「どうしよう…」


今現在、警察学校を卒業し、寮から実家に戻ってはいるけど。


あの大量の薔薇の花を自分の部屋に、置ききれるだろうか?


「俺の知り合いに、趣味というか副業で香水を作ってる子が居るのですが、
一部をその子に香水にして貰いましょうか?
出来たら、送ります。
真湖さんの自宅の部屋番号さえ教えて貰えたら、後は住所は分かるので」


それは、いいかもしれない。


「では、お願いします」


「それでも、薔薇の大半は捨てる事になりますが。
とりあえず、2~3日はこのホテルの707号室はそのまま空けておくように言ってるので。
また、あの部屋に戻られても構いませんよ?」


「そうですね」


もう一度、あの部屋に薔薇やケーキを見に戻りたいと思うけど、
今は、まだ直ぐに戻らない。


「一度、自宅に帰られますか?
それなら、このまま送りますよ?」


「いえ。大丈夫です。
自宅はあのマンションの1107号室です。
また薔薇の香水が届くのを、楽しみにしてますね」


「分かりました」


早瀬さんはこちらを振り返り、笑顔を見せてくれた。


今、気付いたけど、早瀬さんの目の縁が赤い。


早瀬さんは、もう泣いたんだな。
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