夜と遊ぶ
「昔、一度兄ちゃんが俺を戦隊もののヒーローショーに連れてってくれたんだけど。
俺よりも、兄ちゃんの方がはしゃいでて、絶対、自分が行きたかっただけだろうな」


なんとなく、そんな一夜が目に浮かぶ。


そういえば、一夜にボーリングに連れてって貰った事があったけど、
私よりも一夜の方が凄く楽しそうだったな。


「にしても、お前若いよな?
兄ちゃんよりもけっこう歳下?」


「うん。中と同じ歳だよ」


「て事は、もう学生ではないのか?」


「うん。社会人。
ちなみに、警察官やってる」

そう言うと、え、と中は警戒したように眉間を寄せたけど、
吹き出すように笑う。


「ヤクザの兄ちゃん元彼女が、警察官とかウケんな」  


なんとなく、一夜みたいな事言うんだな、と、やはり兄弟なんだな、と思った。


「中は、半グレグループのリーダーなんだよね?」


前にそのグループ名を聞いたが、忘れた。


「半グレ、そう言われるの嫌なんだけどな」


「そういうものなんだ。
でも、リーダーなんて凄いね?」


そのグループが、どれくらいの規模かはよく知らないけど。

その、トップ。


「凄いかは分からないけど。
やっぱり、リーダーじゃないとつまんねぇから」


そう、当然のように笑う顔もそうだけど。


やはり、一夜によく似てるな。


一夜の、弟。



(終わり)
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