夜と遊ぶ
クリスマス
クリスマスの今日。


一夜のお墓へと、やって来た。


一夜のお墓は、加賀見家代々のお墓ではなくて、
一夜と一夜のお母さんだけが、眠っている。


電車で行くと乗り換えが多いから、今日は車でこの霊園にやって来た。


大学三年の冬に、合宿で車の免許を取っていたが、殆ど運転する事がなかったのだけど。


お母さんが就職祝いに、ピンクのラパンを私にプレゼントしてくれて、
時々、車の運転をするようになった。


慣れると、車の運転が楽しくて、いつか、バイクの大型免許も取ろうかと思うけど、仕事が忙しくて、なかなか行動に移せない。


クリスマスイブの昨日は、朝からずっと仕事で。


今朝、仕事を終え帰って来て寝て、起きたら夕方近くて、
慌てて、此処にやって来た。


一夜のお墓には、先客が居て。


「あ、真湖ちゃん」


それは、一夜の親友の一枝さん。


「何しに来たんですか?」

思わず、睨んでしまう。


「すっかり嫌われたみたいだね?
当然、か」


本当に、この人に対して憎しみを持ち、腹が立つのだけど。


何故か、嫌いになりきれないのは、

一夜がこの人を、大好きなのを知っているからだろう。


そして、この人もまた、一夜が大好きなのに…。



「嫌いってより、一枝さんを見てると、なんだか悲しくなるの」

それに、寂し気に笑みを返された。


「真湖ちゃんは、クリスマスなのに予定ないの?」


「一枝さんこそ」


「俺は、これが予定だから」

そう言われて、思い出した。


何年前からかは知らないが、クリスマスはこの人と過ごすのが恒例になっていると、一夜が言っていたな。


「私も、これが予定です」

そう言うと、そっか、と笑われた。


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