夜と遊ぶ
夜にさまよう
年が明け、世間はもうすぐバレンタインデー。


そういえば、一年前のバレンタインデー間近に一夜と別れた為に、
一夜にはチョコレートをあげられなかった。


一年か。
一夜に最後に会ってから。


心だけが、まだあの頃にずっと取り残されている。
無理なのを分かっていても、今も一夜に会いたくて仕方ない。


今夜は、とあるバーに訪れた。
それはS町の歓楽街から少し離れた場所にある。


「――真湖さん、お久しぶりです」


その人は、扉を開けてバーの店内に入って来た私の顔を見て驚いている。
この人に会うのは、ちょうど4ヶ月振りかな?


「お久しぶりです。早瀬さん。
バラの香水を送って頂いたお礼が言いたくて。
ほら?差出人を同上にされていたから、手紙すらも返せなくて。
その節はありがとうございます。
幸子さんのお店に行ったら、早瀬さん最近バーを始めたって聞いて、それで来てしまいました」


もしかしたら、こうやって会いに来て迷惑だったかな?
送り状に早瀬さんの連絡先が書かれていなかったのは、
私と二度と関わるつもりがなかったからなのだろうから。


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