夜と遊ぶ
一枝さんに連れられ、霊園から近くのラブホテルへとやって来た。
意識はあるけど、熱でぼんやりとしている。


「真湖ちゃん、ゆっくりでいいから寝転んで」


一枝さんに介抱されながら、コートを脱がされ、そのまま服も脱がされて下着姿でベッドに寝転ぶ。
熱のせいか、下着姿でも恥ずかしいと思う感覚が湧かない。


一枝さんに助けられながら、ゆっくりと布団の中へと入る。
雨に打たれたせいなのか、とにかく寒い。


ピンクでキラキラとした部屋で、
見てるだけで疲れそうで、目を閉じた。


そうしたら、本当に眠ったのか、
次に目を開けた時に、眠ったような感覚があった。


「…私、寝てました?」


私から距離を取り、ベッドの上に座りテレビを見ている一枝さんに声を掛けた。


「二時間くらい。ぐっすりだったよ」


私に視線を向け、そう笑いかけてくれる。
なんだか、その笑顔に安心して、笑い返しそうになる。


「ここって、ラブホテルですよね?」


入る時もなんとなく分かっていたけど、今ハッキリとそう思う。


「うん。ビジネスホテルとかは駅の方迄歩かないとないし。
それに、なんとなく真湖ちゃんとしちゃうのかな?と思ったから、ここならわざわざ買いに行かなくてもあると思って」


一枝さんの目線の先を追えば、ベッドボードに避妊具が置かれている。


「そういえば、私誘ってましたね?」


私から、この人にキスをして。


「そう。だから、その誘いに乗ってみようかな?って」


一枝さんはワイシャツのボタンを外して行く。
そういえば、ジャケットとネクタイは私が寝ている間に脱いだのか。


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