夜と遊ぶ

「…気持ち良かった」


昌也はイクと、私から身を離して、横に寝転ぶ。


私にそうであるように、他の女の人とも、ちゃんと避妊しているのだろうか?


避妊していても、他の女性にも突っ込んでいると思うと、気持ち悪いな。


やはり、別れようかな?と、
そう思い、横に居る昌也の顔を見る。


「真湖が就職したら今よりももっと会える時間減るかもだな」


そう言われ、この人はこの先も私と別れる事なんて全く考えていないのか、と思う。


心のどこかで、捨てられる前に私の方から捨ててやろうかな、って気持ちがあったけど。


昌也がそうなら、このままでもいいか。


「今と変わらないんじゃない」



現在、昌也とは月に3~4回くらいのペースで会っている。


昌也は仕事が忙しいが、私は暇な大学四年生。


既に内定を貰っているので就活もせず、大学は殆ど行かず、週に3度程、総合ペットショップでレジ打ちのアルバイトをしている。


来年の春からは、忙しいかもしれないけど、
昌也と会うペースは変わらなさそう。


「そっか。それならいいけど」


昌也はティッシュで後処理をすると、
下着を身に付けて、もう寝るのか、目を閉じてベッドに寝転ぶ。



「私、誕生日だから、フライドチキンよりもケーキが良かったな」


昌也は、ケーキは買って来てくれなかった。



「真湖、甘いもの好きじゃないだろ?」


眠そうな声で、そう返される。



「甘いもの、好きだけど。
誰と間違えてるの?」


そう、突っ込んでみるけど。



「好きだっけ?」


そう、平然と返される。


昌也は多分。


浮気がバレても、私が離れて行かないと思っているだろうな。


浮気を一応は隠してくれるけど、
隠し方が、雑。


私から猛アタックして始まった、この交際。


私が自分にベタ惚れだと思っているのだろう。


間違ってはないけど。


けど、最近、昌也に対するこの感情が惰性のような気もして来る。


好きだと思い込んでいるだけのような。


< 26 / 215 >

この作品をシェア

pagetop