夜と遊ぶ
「そうそう。うちの組をしつこく嗅ぎ回っていた、あの警察官。
俺が言ったわけじゃないけど、ジュニアの方で消したんだろ?
最近、見ないから」
先程迄は、永倉ジュニアを殺せって言う話だったけど、
今は、人を殺したって話で。
なんて会話をしているのだろうと、
怖くて、手だけじゃなく体も震える。
一夜は持っていた箸を置き、向かいの二人に頭を下げ出した。
「お二人の事は、今も信頼してます。
鈴城組長の事は、今でも親父だと思ってますし、
高崎さんの事も、今も兄貴だって。
俺がこうやって腹割って話せるのは、あなた達だけです」
「加賀見会長、辞めて下さい!」
急に、一夜の態度がそうやって変わり、
高崎さんも困っている。
「この世界に入りたいと言った22歳の俺に、じいさんから、鈴城組に放り込まれて。
二人には、この世界のイロハを一から叩き込まれて、今の俺があると思っています」
一夜の昔の事は知らないけど、
この人も初めから、聖王会の会長ではなかったのだろう。
聖王会会長になったのも、この一年くらいの話だと、昌也が言っていた。
最初は、傘下の組でそうやって一から始めていたのだろう。