夜と遊ぶ
一時間もしないうちに、この場はお開きの雰囲気になる。
私はずっと生きた心地がしなくて。
お酒でも飲めばと思ったけど、
逆に酩酊して失言とかが怖くて、結局は素面。
一夜と鈴城組長はアルコールを口にしていたが、
私と同じように高崎さんは烏龍茶だった。
「鈴城、肉旨かった。
ね?真湖ちゃん?」
一夜にそう訊かれ、はい、と頷く。
もう味なんて分からなかったけど。
「加賀見会長、デザートとかは良かったですか?
黒ごまアイスがオススメみたいですよ?」
高崎さんは、一夜にというよりも、女の私にそう気を使い訊いている。
「あ、そうか。
真湖ちゃん、甘いもの好きだよね?」
「あ、いや!もうお腹いっぱいだから」
一刻もこの場所から出たくて、そう首を振る。
「じゃあデザートは他のお店で食べようか?」
「え?」
他の店?
「真湖ちゃん、帰れると思っているの?
夜はこれから。
そういう事だから、俺らはもう行く」
一夜に手を握られ、立たされる。
お疲れ様です、とか、目の前の高崎さんと鈴城組長が、一夜に頭を下げている。
「早瀬、お前と上島と有田だけ、後ろから付いて来て」
一夜は、眼鏡の早瀬さんに、通りすがりにそう告げた。
私と一夜がそのまま店から出ると、
ほんの少し後ろに、早瀬さんと護衛と思われる男性二人が同じ速度で歩いて来る。
一夜は、ギュッと私の手を握っている。
その手は温かくて、力強くて。
ドキドキと、する。
「真湖ちゃん、二人っきりじゃなくてごめんね。
また今度、上手く抜け出すから」
そう、後ろの早瀬さん達に聞こえないくらいの声で言われる。
今、歓楽街を一夜と歩いていて、
人通りは多い。
こんな場所で、ヒットマンが現れたりとかはないだろうけど、
この人はそうやって常に誰かに命を狙われていると、警戒しないといけない立場。
「一夜も、大変なんだね」
常に、誰かにこうやって見張られて、
息が詰まるだろうな。
だから、一夜は一昨日の夜、一人で抜け出して街をぶらぶらとしていたのか。
「真湖ちゃん、ボーリング好き?」
「ボーリング?」
私はずっと生きた心地がしなくて。
お酒でも飲めばと思ったけど、
逆に酩酊して失言とかが怖くて、結局は素面。
一夜と鈴城組長はアルコールを口にしていたが、
私と同じように高崎さんは烏龍茶だった。
「鈴城、肉旨かった。
ね?真湖ちゃん?」
一夜にそう訊かれ、はい、と頷く。
もう味なんて分からなかったけど。
「加賀見会長、デザートとかは良かったですか?
黒ごまアイスがオススメみたいですよ?」
高崎さんは、一夜にというよりも、女の私にそう気を使い訊いている。
「あ、そうか。
真湖ちゃん、甘いもの好きだよね?」
「あ、いや!もうお腹いっぱいだから」
一刻もこの場所から出たくて、そう首を振る。
「じゃあデザートは他のお店で食べようか?」
「え?」
他の店?
「真湖ちゃん、帰れると思っているの?
夜はこれから。
そういう事だから、俺らはもう行く」
一夜に手を握られ、立たされる。
お疲れ様です、とか、目の前の高崎さんと鈴城組長が、一夜に頭を下げている。
「早瀬、お前と上島と有田だけ、後ろから付いて来て」
一夜は、眼鏡の早瀬さんに、通りすがりにそう告げた。
私と一夜がそのまま店から出ると、
ほんの少し後ろに、早瀬さんと護衛と思われる男性二人が同じ速度で歩いて来る。
一夜は、ギュッと私の手を握っている。
その手は温かくて、力強くて。
ドキドキと、する。
「真湖ちゃん、二人っきりじゃなくてごめんね。
また今度、上手く抜け出すから」
そう、後ろの早瀬さん達に聞こえないくらいの声で言われる。
今、歓楽街を一夜と歩いていて、
人通りは多い。
こんな場所で、ヒットマンが現れたりとかはないだろうけど、
この人はそうやって常に誰かに命を狙われていると、警戒しないといけない立場。
「一夜も、大変なんだね」
常に、誰かにこうやって見張られて、
息が詰まるだろうな。
だから、一夜は一昨日の夜、一人で抜け出して街をぶらぶらとしていたのか。
「真湖ちゃん、ボーリング好き?」
「ボーリング?」