夜と遊ぶ
「ナガやんとは、お互いの親とかが知り合いだから、
中学よりも前から面識はあったけどね。
ほら?真湖ちゃん、この前会った永倉ジュニア覚えてない?」


「あ、うん。覚えている」


「あ、うちの弟に会ったんだ?」


弟?

「前に真湖ちゃんを、ジュニアに車で送って貰った事あって。
ね?真湖ちゃん。
ナガやんは、ジュニアのお兄さん」



"ーー高崎、お前永倉ジュニアを殺れーー"


あの焼肉屋で、一夜は高崎さんにそう言っていて。


"ーー永倉の長男が裏で糸引いて、自分の弟を聖王会の会長にしてやろうって、思ってんだろうなーー"


そんな感じの事も話していた。


その永倉の長男って、もしかして、
この一枝さんって人では…。



「あの、一枝さんって、長男ですか?」


「え?それ、気になる?」


そう、一枝さんは笑っている。


「ナガやんは長男。次男だけがヤクザやってて。
えっと、ナガやんの所は男三人兄弟なんだけど、
一番下の三男坊は、普通に会社員」


一夜がそう、私に教えてくれる。


その顔が、あんな事なんか言ってなかったように普通で。


怖い、と思ってしまう。


ほんの3日前に、この人は親友の弟を殺せって言っていた。



「あ、メロン、せっかくだから三人で食べよう。

切って貰って来る」


そう言って、一夜は立ち上がると、
その木箱を一枝さんから受け取り、部屋から出て行った。



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