夜と遊ぶ


「確か、俺らが大学入ってすぐだったよね?
ナガやんがダイニンバーの経営始めたの」


「そう。うちの父親がこの金やるから、何かやってみろって」


三人でメロンを食べながら、
二人の思い出話を私は聞いていた。

現在、一枝さんは有名な居酒屋チェーン店を運営している会社の社長らしく。


その、会社を始めたきっかけの話。


「従業員がイケメンと美女ばかりのダイニンバー開いて、
あれ、スッゴい流行ったよね?
やっぱり、ナガやんは経営のセンスがピカイチだったから」


「いっちゃんも、学生の頃にうさぎのブリード業始めて、かなり稼いでたじゃない?
大学卒業と同時にそっちの世界に行っちゃったけど、
そのままブリード業してても、成功したと思うよ?
もったいない」



うさぎのブリーダー?


それが関係あるのかは分からないが、
一夜のLINEのアイコンが、黒いうさぎ。


「うさぎがこれから来ると思ったのがたまたま当たっただけで。
けど、子供の時にクロベエとの出会いが無ければ、うさぎには手を出さなかったかな?
まー、この世界入ったからあの会社は後輩に譲ったけど、今もいくらかは俺の懐に入って来てるから、いいんだよ」


ハッキリと話の内容は分からないけど。


多分、一夜は子供の時にうさぎを飼っていて。


それが、あのLINEのアイコンの黒いうさぎで、名前がクロベエなのだと思う。


そして、そのうさぎのブリード業は一夜の後輩が受け継いでいて、
その売上のいくらかは、今も一夜の懐に入って来ているのだろう。

< 54 / 215 >

この作品をシェア

pagetop