夜と遊ぶ

「ねぇ、それより真湖ちゃん、お腹空かない?」
 
 
「え?お腹?」


この話の流れで、唐突にそう訊かれ。


えっと、と困って返事が出来ない。


「何か食べに行こう?」


そう言って、一夜は私の手を掴み立ち上がる。


「二人だけではないよね?」


「うん。護衛は何人か来るけど、知り合いの店だから、
中には俺達だけで入れるから」


一夜はそう言って、スマホで誰かに電話を掛けている。


多分、早瀬さんかな?


あの店行くから、車回してとか、そんな内容。






そのままマンションの部屋から出て、建物の外へと行くと、
既に、早瀬さんが来ていて、護衛の人達も居る。



いつものように、早瀬さんの運転する車の後部席に私と一夜が乗る。

護衛の人達が乗るミニバンは、この車を挟むように2台走っている。


「あの店で良かったですか?」


そう訊く早瀬さんに、


「うん。幸子(さちこ)さんの所。久しぶりに、あそこの角煮食べたくて」


一夜はそう答える。


ヤクザのこの人の知り合いの店って聞いて、どんなお店だろう?と思ったけど。


わりと、普通のお店みたい。


ただ、幸子という女性の名前が気になるけど。

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