夜と遊ぶ

「親不孝な、娘だよな…」


「昌也、言わないで!」


運転席の昌也の肩を、必死で掴んでいた。


「別に、俺は、誰かに言うとか真湖を脅してるわけじゃない。
ただ、どこかから真湖と加賀見の関係が、お前ら家族の職場迄広がる事だってあるって言ってるだけ。
俺だって、友達や職場の人間に、酔って話してしまうかもしれない」



脅していないようで、昌也は私をそうやって脅している。



「昌也、絶対に誰にも言わないで!」


「じゃあ、言われないように、しろよ」


昌也が私を脅す目的は、何?



「別に、今さら真湖とやり直したいとかはないけど。
ただ、もう一回くらいヤらしてくれたら。
俺も、ま、いいかって」


つい最近迄、この人と付き合っていて、
今まで散々して来たのに。


もう好きじゃなくて、他に好きな人が居るだけで、
これ程拒絶したくなるもんなんだな。


「…分かった」


でも、それを受け入れるしかない。


< 94 / 215 >

この作品をシェア

pagetop