夜と遊ぶ
「親不孝な、娘だよな…」
「昌也、言わないで!」
運転席の昌也の肩を、必死で掴んでいた。
「別に、俺は、誰かに言うとか真湖を脅してるわけじゃない。
ただ、どこかから真湖と加賀見の関係が、お前ら家族の職場迄広がる事だってあるって言ってるだけ。
俺だって、友達や職場の人間に、酔って話してしまうかもしれない」
脅していないようで、昌也は私をそうやって脅している。
「昌也、絶対に誰にも言わないで!」
「じゃあ、言われないように、しろよ」
昌也が私を脅す目的は、何?
「別に、今さら真湖とやり直したいとかはないけど。
ただ、もう一回くらいヤらしてくれたら。
俺も、ま、いいかって」
つい最近迄、この人と付き合っていて、
今まで散々して来たのに。
もう好きじゃなくて、他に好きな人が居るだけで、
これ程拒絶したくなるもんなんだな。
「…分かった」
でも、それを受け入れるしかない。