気だるげ男子の無自覚な独占欲



「昨日の帰りのSHR(ショートホームルーム)とか、今日の3,4時限目とか。なんか前に出て佐原と2人で仕切ってたでしょ」


 思い出すのも嫌なのか、ぐぐっと眉間の皺が太くなった。


 眉間を指でつついて解してあげたくなるけど……力を込められた湯本くんの手からは抜け出せそうにない。


 とにかく、湯本くんがなにを指しているのかわかったことだし、弁明をしないと……。


「ルール説明や種目決めをしてたときの話かな? 並んでるって言うほど近くもなかった気がする……」

「すごく近かった」


 やんわりと否定してみれば、食い気味に否定されてしまった。


 駄々をこねる子供みたいなトーンなのがちょっと可愛い。


 でもね、湯本くん。


 近いって言うのは、私と湯本くんの今の……ううん、いつものベッドでの距離を言うんだよ……。


「あいつ、あんたのことばっか見てた」

「そんなことないと思うけど……もしもそうだとしても佐原くんは優しい人だし、失敗しないように見守ってくれてるんじゃないかな?」

「……どっちにしろ気に食わない」



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