気だるげ男子の無自覚な独占欲



「今、なんて……」


 じわじわと、さらに頬を染め上げる彼女は愛らしさを増して、また心臓が変な音を立てる。


 それに、白い肌に映えるもう一つの薄紅が、俺の意識を惹きつけてしょうがないから。


 ただ吸い込まれるように。流れるように。


「な、なに―――」


 ―――彼女のそれに、自分のそれを重ねた。


 いつもの方が触れてる面積は広いはずなのに、過去最高の熱を感じる。


 それから覚えたのは最大の安堵感。


 どうして彼女の近くはこんなにも安らぐんだろう。


 このままでいたら、それがわかるようになる?


 そんなことを考えながら、安心から自分の手の力が抜けたのを感じていると。


「あっ」

「っ、どうしてキスなんて……」


 俺の拘束から抜け出した彼女が、そっと俺の胸を押し返した。


 泣いてこそいないものの、激しく動揺した様子で。


 ……と、とあることに気づいて俺も動揺する。



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