気だるげ男子の無自覚な独占欲



 俺の彼女への感情は恋だってことが、たまらなく嬉しい。


 今なら3日間くらいは徹夜できそうなくらいに気分が高揚している。


 しょぼくれていた俺が、一瞬で元気を取り戻したのが癇に障ったのか、


「あ、そうそう。ひまりちゃんのことを泣かせるような奴に譲るつもりないから」


 佐原は俺に背を向けながら、きっちりと釘を挿した。


 そしてそれは、しっかりと俺の心の奥深くまで刺さる。胸が痛い。


 こんなに大事なことにようやく気付くなんて、馬鹿だな。


『好きじゃないのにキスをした』なんて、大噓つきだ。最悪だ。


 それなのに、佐原の前では泣いたという事実が、俺の狭い心を燃え上がらせる。


 どんなに陰口を叩かれても、俺の前では一粒の涙だって見せなかったのに。


「クラスマッチのバスケ、得点が多い方の勝ちね」


 佐原は俺の心中を知ってかどうか。


 火に油を注ぐような捨て台詞を吐いて、彼女の元へと向かった。


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