気だるげ男子の無自覚な独占欲
どんぴしゃりで名前を当てるってことは、私の後に湯本くんが保健室から出てきたんだと思う。
まだ関わり始めたばかりの佐原くんに、心配してもらうなんて、ほんと自分ってどうしようもないなぁ……。
自嘲と相まって、へらっとした笑いを作れた。
『嫌なことはなにもされてないよ』
佐原くんはなぜだかぼーっと私の顔を見つめていたけど、私の声で我に返ったらしく、慌てた様子で目を逸らした。
『それは良かった。ところで、湯本くんとは仲いいの?』
『仲は……どうなんだろう? お昼寝は一緒にするけど、でも教室では話したことないし……』
湯本くんとお話しするのは、保健室でだけ。
保健室を出たら、ただのクラスメイト。仲がいいとも悪いとも言えないような、繋がりのない2人に戻る。
『お昼寝……? 同じベッドで?』
『うん……って、あ! い、今の、聞かなかったことにしてもらえるかな!?』