気だるげ男子の無自覚な独占欲



 何気なく言っちゃったけど、いい年頃の男女が一つのベッドでお昼寝だなんて、よくよく考えたらおかしい。


 人に言えないことをしているつもりはない。でも、変な風に噂されたら大変だよね……?


 湯本くんに迷惑がかかるかもしれないし、ここは口止めしておかないと!


 そう思って咄嗟(とっさ)に出たのは、人差し指を唇にあてて“シーっ”のポーズ。


『秘密にしてくれる……?』


 ぽかんと固まっていた佐原くんにお願いをしてみた。


 思いが伝わるように、一瞬たりとも視線を乱すことなく瞳を一直線に見つめて。


『っ、わかった。だから、それ、やめて……』


 私の目元を覆った、佐原くんの手。


 ベッドの中で私の髪をいたずらに梳いていた細い指とは違う、太めのごつい指がおでこや鼻に触れた。


 その指の隙間から少しだけ見えた髪、顔、白シャツ。


 夕焼けに照らされて、真っ赤に染まったそれらは。


 湯本くんの隣にいる私みたいで……しばらく脳裏にこびりついたままだった。



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