気だるげ男子の無自覚な独占欲



◇ ◇ ◇



 あれから一度もお昼寝に行けないまま、クラスマッチ当日。


 うちの学校はこういうイベント事が少ないから、体育館は熱気で溢れている。


 特に、半分を使用しているバスケは、ギャラリーもプレイヤーも激しくて。


「佐原くーん! 頑張れー!!」

「きゃー!! シュート決まった!! かっこいい~!!」

「ボールを持ってなくてもかっこいいなんて反則……」


 女の子たちの実況が常に流れている状態。


 だけど、佐原くんはこっちの声が聞こえてないみたいにボールしか見つめていない。


 集中力が凄い……。


 佐原くんの活躍のおかげで、私たちのクラスはどんどん点数を重ねていく。


 佐原くんの手にボールが渡れば、それはもうゴールへ吸い込まれるという確信すらもてるほど。


 この調子だと、この試合は楽に勝てるかもしれない。


 ううん、3年生を追い抜いて優勝できちゃうかも?


 ……なんて、考えていると。


「ちょっと! 佐原くんばっかりマークしないでよ!!」

「1対2とか反則じゃない!?」

「あっ、逆転した!?」


 時間が半分を過ぎたとき、相手チームが策に出た。



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