気だるげ男子の無自覚な独占欲



 得点源になっていた佐原くんが固くマークされるようになってから、目に見えて点が入らなくなり……ついには逆転されてしまった。


 佐原くんを応援していた女の子たちは、野次(やじ)を飛ばす。


 だけども相手はおかまいなし。着実に点差を広げていった。


 そうして、こっちがやきもきしている中で、無情にも終わりを告げるブザーが甲高く鳴り響き、


「うわぁ、24対34? Bチームの面子(めんつ)じゃきつくね?」

「これはほぼ負け確定だな」

「うっそ……もう佐原くんのバスケ姿が見られないなんて!」


 辺りはすっかり敗北ムードに包まれてしまった。


 クラスで2チーム作って、それぞれA同士とB同士で対戦した合計得点で競うルールだから、まだ希望はあるのだけど……。


 コートに整列しているクラスメイトたちに目をやると、その中には湯本くんがいて。


 遠目から見た湯本くんは、ちょっと疲れているように見えた。


 授業の合間の休憩時間も、お昼休みも、放課後も。


 実行委員をきっかけに関わりが増えた佐原くんから、話しかけられたり、誘われたり……その間に湯本くんは姿を消しちゃってたから。


 ……久しぶりに湯本くんを見られて嬉しいな。



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