気だるげ男子の無自覚な独占欲



「湯本! ラスト!」


 試合が終わる数秒前。


 パスを受けた湯本くんがいたのはコートから少し遠い場所。


 だけど、相手のチームからの妨害はなくて。



 ―――パシュッ。



 小気味いい音を立てて、ボールが網を揺らした。


「湯本―!! すっげー!!」

「60対40! 点差つけすぎな!」

「オーバーキルにもほどがあるだろ~!」


 興奮した男の子たちが、湯本くんの元へ一斉に駆け寄った。


 中心になるのに慣れていなくて、戸惑っている湯本くん。


 されるがままなのが、ほんのちょっぴり面白い。


 しばらくの間、コートでもみくちゃにされた湯本くんは、コートから出る頃にはすっかりへろへろだった。


 だけど、そんな中でも湯本くんはこちらへ来てくれて。


「ちゃんと見てた?」


 暑そうに体操服のお腹辺りを扇ぎながら、私へそう尋ねた。


 ちらりと見える肌色が心臓に悪い……。



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