気だるげ男子の無自覚な独占欲



「腫れて熱を持ってるね……」


 保健室に来たのは、暑さから避難してのんびり涼むため……ではなく、湯本くんのケガの応急処置をするため。


 順調に勝ち進んでいて安心しきって観戦していたところ、湯本くんは準決勝の試合のときに相手チームの一人とぶつかった。


 すぐに立ち上がってなんでもない風にしていたけど。


 利き手じゃない方でドリブルしたり、百発百中だったシュート率が明らかに低下したりしていたから、私以外にも気づいていた人はいるんじゃないかな……。


 ただ、その湯本くんの頑張りもあって、私たちのクラスは1年生にして準優勝の結果で終わることができた。


 私は素直に喜べないけど……。


 引き出しから大きめのシップをもらい、なるべく刺激しないようにそっと湯本くんの手首に張り付ける。


 剥がれないようにテープでの固定も忘れずに。


 そして、これも忘れない。


「どうして無理したの……?」


 湯本くんが試合に出続けていたときから抱いていた疑問を投げた。



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