気だるげ男子の無自覚な独占欲



 1チームにつき、2名の補欠を登録していて無理する必要はなかったはずなのに。


 なんで悪化するのがわかっていながら出場し続けたの……?


 どうして痛みを我慢してまで、バスケをやる必要があったの……?


 そんな思いから、つい責めるみたいな言い方になってしまったのを感じた。


 それは湯本くんも同じだったみたいで、


「……ひまりにいいところを見せたくて」


 俯きながら、ぽつりと呟くように答えた。


 両手をそれぞれぎゅっと握られて、離れないでって懇願(こんがん)されているよう。


 だけど、私の中に疑問は募るばかりで。


 どうして私にいいところを見せる必要があるんだろう?


 というか、あんたじゃなくて名前呼びに変わってる……!


 どういう心境の変化なのかな……?


「えっと……」

「混乱させてごめん。この前の間違えたってやつ、間違えた」

「え?」


「ひまりのことが好き」


 まるで好きな食べ物の話をしてるみたいな口調で、湯本くんは私に恋してるって言ってくれた。


 湯本くんが反応を求めてこっちを見ているけど……私の頭は追い付かなくて、なにも言えずに固まるだけ。



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