気だるげ男子の無自覚な独占欲



「なに―――」


「湯本くんのことが好きだから、緊張するんだよ」


 途端に大きくなる湯本くんの瞳。手の震えも止まった。


 私は人生初めての告白に、心臓が暴走中。


 頬に熱が集中するのはいつものことだけど、今日はやけに熱い気がするからきっと全部が真っ赤なんだと思う……恥ずかしい。


 と、顔を隠そうと湯本くんの手から離れようとしたとき。


「わっ……!?」


 私が離す前に離れた手は、私の背中へ回された。


 それから身体を引き寄せられ、湯本くんのおでこが私の鳩尾(みぞおち)にあたる。


 小さな子どもがしがみつくみたいで、ドキドキよりも愛らしさを感じた。


 湯本くんは、私にいろんな感情を教えてくれる。


「両想いってやつ?」

「そうだね」


 普段、湯本くんがしてくれるように、私も湯本くんのさらさらな髪の毛を梳く。


 こてん、と甘えるみたいに私へと重心を預けるのがまた心をくすぐられた。


「……眠くなってきた」

「ふふっ、こんなときにも眠くなるんだね」

「安心したから」


 自分のペースを崩さない湯本くんは、のそりと立ち上がり、もぞもぞと定位置に潜り込んだ。



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