気だるげ男子の無自覚な独占欲



 そのまま数秒で寝ちゃうかなと思ったけど、そうじゃないらしくて。


「あと、スタミナ切れしないようにランニングしたり、家の近くの公園でシュート練習したり。あいつに負けたくなくてかなり頑張った」

「そ、そんなことしてたの……? 湯本くんが……?」

「そ。だから褒めて」


 どうやら、この展開まで持ってきたかったみたい。


 相変わらず変化のない表情だけど、瞳はじっとねだるように私を見つめている。


 何気なく見つめ返していると、その下にうっすらと浮かぶ隈を見つけて。


 睡眠大好き湯本くんが、こんなものを作ってまで頑張ってくれたんだと思うと、胸がいっぱいになって。


「すごく。すごーく頑張ったんだね」


 好かれている実感が沸いたおかげで泣きそうになったけど、嬉しさの方が勝ってなんとか笑顔を向けられた。


 でも、言葉だけでは弱まりそうもない強い視線。


 湯本くんが求めていることがわかって、恥ずかしいからとちょっとためらって。


 それでも、やっぱり叶えてあげたくなったから。


「ありがとう」


 控えめなキスを、愛おしい隈に落とした。


 嬉しいけど、恥ずかしい。恥ずかしいけど、幸せ。


 少し前まで湯本くん不足だったのに、急にこんなに摂取したら大丈夫じゃない気がする……。



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