気だるげ男子の無自覚な独占欲

　そんな贅沢な心配をしていると。


「足りない」

「……？んっ―――」


　離れようとした唇に、湯本くんの唇が合わせられた。


　驚いて後ろに避難しようとしたけど、見事に片手で捕らえられて甘い触れ合いが始まった。


　お互いの熱を分け合って、感じて。


　満たされてるのに、与えられ続ける。


　キス……通じ合ってるって感じがして結構好きかも。


　なんて、私はどうかしてるのかもしれない……。


　でも、好きと言っても限界はあるから、初心者の私は早々に逃げた。


　片手でしか抑えられていなかったから、最初から逃れようと思えば逃れられたみたい。


　……湯本くんの優しさが今はちょっと恥ずかしい。


「そういえば、何日か前に差し入れを置いてくれてたのって湯本くん？」


　お互いに少し離れて見つめ合っているのもむずがゆくて、私は甘々な空気を破るように話し始めた。


　ずっと気になっていたことだし、ちょうどいいよね……？


　数日前に、私の机に置いてあったもののお話。