気だるげ男子の無自覚な独占欲



 すると、湯本くんは幻の微笑みを私へ向けて、


「どういたしまして。俺も、ずっとありがとう」


 感謝返しをしてきた。私の頭の中に疑問符が浮かぶ。


「私、なにもしてないよ……?」

「愛想つかさないでくれるから」

「湯本くんに振り回されるの、好きだよ。……って、変かな?」

「全然。可愛い」


 ふっと息を漏らして笑う湯本くんは激レアで。


 こうして、一つ一つ隣で知っていけるって思うと、笑みが零れる。


 いつの間にか湯本くんは真顔に戻っていて、私が笑っているのを自分のものにするかのように瞬きもせずに眺めていた。


 と、不意に口を開き、


「俺、好きなものは独り占めしたい派らしくて」

「う、ん……?」

「独り占めされる覚悟、よろしく」


 引き摺り込んだ私を、布団とシーツの間で包み込んだ。


 気だるげマイペース男子は、自覚したら開き直るみたい。


 湯本くんの抱き枕になるのも嬉しい私だから。



 私の全部を独り占めしてほしいな……なんて。



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