気だるげ男子の無自覚な独占欲
お手柔らかにお願いします……
「ゆ、湯本くんっ」
「なに?」
「私たちはどうしてこんなことに……?」
「俺がこうしたいからだけど?」
7月になり冷房が吐く空気に身体を冷やす真昼間。
職員会議で主が不在の保健室。
1つのベッドに納まる男女2人……湯本くんと私。
湯本くんに解説を求めたものの、後ろから返ってきた答えが答えになってない。
いかにも当然みたいな言い方をしてるけど……ぜんっぜんわかんないよ。
女の子の日に苦しむ私が、お腹の痛みに耐えられずに保健室に来たのは覚えている。
それからベッドに横になろうと真ん中のベッドに向かい、先に一番奥のベッドを陣取っていた湯本くんと目が合ったところも覚えていて……そこからが曖昧。
向かった真ん中のベッドではなく湯本くんがいた一番奥のベッドに我が身が納まっていることを考えると、引き摺り込まれたんだと簡単にわかったけれど。
……どうして引き摺り込まれた上に、がっしりと捕らわれているんだろう。
態勢は違えど、デジャブを感じる……。