恋と、餃子と、年下男子
もう終わったことではあるけど、聞いてもらってもバチは当たらないかな……。
「……営業部の後輩で、三年目の子がいるの」
「中村菜々?」
知ってたのか。
「そう。その子がミスの多い子でね。私も大概フォローしてたんだけど、さすがに三年目だしと思って企画書の作成を任せたのよ。取引先との会議で使うやつのね」
「うん」
「結果的にそれがミスだらけで。しかもありえないレベルの」
「どんな?」
思い出すだけでも頭が痛くなる。
「先方の会社名を間違えてたのよ。『エス・エル・フーズ』を『エス・エム・フーズ』って……」
ヤッシーがお茶を吹き出しそうになった。
「やっば……」
「で、さらに『〜は検討中です』ってするべき箇所を、『〜は検討(^з^)-☆チュッ』って……」
「あはははははは!」
ヤッシーはテーブルをバシバシ叩きながら大笑いした。
「いや笑い事じゃないのよ⁉︎ それ、私がチェックしなかったのが悪いって言われて……。その後、菜々を注意したら泣き出して、社会人として泣くのはどうなのって言ったら総務に駆け込まれて……。私はパワハラ女になったってわけ」
ヤッシーは笑い泣きした目尻を指で拭いながら、大きな目を丸くした。
「それ、モエモエ先輩何も悪くないじゃん! 後輩ちゃんがボケすぎでしょ」
「でも、事前に私がチェックしなかったのは事実だから……」
「チェックありきで作るから、そんなふざけた出来になるんだって! マジありえない! 甘えすぎ!」
自分のことのように怒るヤッシーに、私は思わず笑ってしまう。
「えっ、何でモエモエ先輩笑ってんの⁉︎ ここ、怒るとこでしょ⁉︎」
「いや、ごめん……。そんな怒ってくれるとは思わなくて」
ふふっ、と笑うと、ヤッシーはキョトンとした。そして私につられて笑い出した。パワハラで左遷だなんて、社会人人生の汚点でしかないと思っていたけど、こんなふうに庇ってくれる人もいるんだ——。それだけで、私は少し救われた気がした。
「……営業部の後輩で、三年目の子がいるの」
「中村菜々?」
知ってたのか。
「そう。その子がミスの多い子でね。私も大概フォローしてたんだけど、さすがに三年目だしと思って企画書の作成を任せたのよ。取引先との会議で使うやつのね」
「うん」
「結果的にそれがミスだらけで。しかもありえないレベルの」
「どんな?」
思い出すだけでも頭が痛くなる。
「先方の会社名を間違えてたのよ。『エス・エル・フーズ』を『エス・エム・フーズ』って……」
ヤッシーがお茶を吹き出しそうになった。
「やっば……」
「で、さらに『〜は検討中です』ってするべき箇所を、『〜は検討(^з^)-☆チュッ』って……」
「あはははははは!」
ヤッシーはテーブルをバシバシ叩きながら大笑いした。
「いや笑い事じゃないのよ⁉︎ それ、私がチェックしなかったのが悪いって言われて……。その後、菜々を注意したら泣き出して、社会人として泣くのはどうなのって言ったら総務に駆け込まれて……。私はパワハラ女になったってわけ」
ヤッシーは笑い泣きした目尻を指で拭いながら、大きな目を丸くした。
「それ、モエモエ先輩何も悪くないじゃん! 後輩ちゃんがボケすぎでしょ」
「でも、事前に私がチェックしなかったのは事実だから……」
「チェックありきで作るから、そんなふざけた出来になるんだって! マジありえない! 甘えすぎ!」
自分のことのように怒るヤッシーに、私は思わず笑ってしまう。
「えっ、何でモエモエ先輩笑ってんの⁉︎ ここ、怒るとこでしょ⁉︎」
「いや、ごめん……。そんな怒ってくれるとは思わなくて」
ふふっ、と笑うと、ヤッシーはキョトンとした。そして私につられて笑い出した。パワハラで左遷だなんて、社会人人生の汚点でしかないと思っていたけど、こんなふうに庇ってくれる人もいるんだ——。それだけで、私は少し救われた気がした。