恋と、餃子と、年下男子

どうすれば…

 気がついたらすっかり日が暮れていた。家に帰るなり、身体中の力がふっと抜けてしまった私は、ソファに上半身を突っ伏した状態で眠ってしまったのだった。布張りのソファにはまだ微かに圭人のにおいが残っていて、それが余計に私を虚しくさせた。

 もぞもぞとスマートフォンを取り出す。もう十九時を回っていた。そしてディスプレイには着信の嵐——。ナベさん、ヤッシー、久保君、梨紗、総務部、梨紗、梨紗、梨紗、梨紗、梨紗梨紗梨紗梨紗……。メールボックスを開くと、そちらも梨紗で埋め尽くされていた。

「梨紗よ……。ちょっと怖いから」

 言いながら、少しだけ笑いが込み上げた。親友とは何てありがたい存在なのだろう?
 私はリダイアルで梨紗の番号を鳴らした。
 
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