ドアの向こうにいる君へ
 それから時は流れ、新年度が始まった。



 新年度からは弓道部も外部コーチを招くようになったため、部活ができる時間が伸び、みんなもより一層練習に熱がこもっている。



 あの年上くんとは全然話していない。



 新年度最初の部活の休憩中。




 私はいつもと変わらずバスケットコートを眺めていた。



 だけど、居ない。



 年度末に私がずっと眺めていた彼がいなかった。



 きっと明日は来るんだろう。




 そう思って次の日も覗いてみたが、やっぱり居なかった。



 怪我でもしたのかと思って見学者の所を見てもいなかった。




 彼のフリースローをする姿が見えなくなって数日経った。




 ここである1つの可能性が浮上した。



 それはあの年上君はもう大学生かもしれないということ。



 先輩に聞いた話だが、うちの学校はスポーツに力を入れている為に大学にスポーツ推薦で入る人も多いらしい。



 大学の練習は新年度から参加して、それまでは高校で技術指導をする人もいるんだとか。



 言われてみれば確かにバスケ部から何人か居なくなっていた。







 
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