ドアの向こうにいる君へ
 きっとそうだ。



 もう彼には会うことは出来ない。



 私は報われる事のないこの気持ちを仕舞おうと思ってバスケ部のコートを見ることをやめにすることにした。


 
 泣いたってどうする事も出来ない。



 気になったって来るはずがないから、部活に集中する。



 そのおかげか、成績が伸び、新人なのに全国大会に繋がる大事な試合の個人戦に出場する事が決まった。



 弓道をしている時だけは恋愛の事も考えずに時間が過ぎていく。



 自分が離した矢が届いた先で、パンッという的に中る音が響くたびに冷静になれるような気がした。



 きっとあの切ない気持ちも一時の感情だ。



 新しいことが立て続けに起きて脳がパンクしてただけだ。




 きっと。
 
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