鍵の皇子と血色の撫子
 そう言って、聖岳は――ガクは撫子の身体を抱き寄せる。

「俺もあいつも成長したお前を前に、欲情してんのさ」
「よく、じょう?」

 きょとんとした表情の撫子に、ガクが告げる。

「――早くお前の鍵穴に、俺の鍵をぶちこみたい、ってな」


   * * *


 ぐらり、と視界が揺らぐ。
 応接間のソファに押し倒されたのだと撫子が気づいたときには、ガクによって唇を奪われていた。

「真実――鍵の皇子である俺たちには、情欲を抑える鍵穴であるお前が必要なんだ」
「っ!」

 はじめての口づけはもっと淡白なものだと思っていたのに、情熱的に唇を求められ、撫子は彼に応じてしまう。ぬるりとはいってきた舌先を迎え入れれば、彼のそれが歯列を伝い、撫子を蹂躙していく。
 繰り返される、舌を絡める接吻で。

「……ハァっ」
「撫子。結婚するまであいつは待とうとしていたが、俺は待たないからな」
「ん」

 撫子がとろりとした瞳で頷けば、「ようやく薬が効いてきたか」とガクが満足そうに呟く。

「薬?」
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