鍵の皇子と血色の撫子
 ガクのように早急ではなく、身体中に慈雨を降らせるような接吻で、はだかの撫子を愛でていく。

「くすぐったい、です――っ」
「ガクに抱かれたとき、僕に罪悪感を抱いていたみたいだね。心配しなくてもいいんだよ。あれはあれで、僕の真実の姿なんだから」
「んっ――!!」

 れろれろと乳首を舐めしゃぶられながら、敏感な秘芽を指先で捏ねくり回されて、撫子は軽く達してしまう。
 淫らな反応をする婚約者を横目に、聖岳は嬉しそうに言葉を紡ぐ。

「貴女の鍵穴に、今度は僕の鍵をいれて、もういちど、ひとつになろう」
「……はい」

 鍵をつけかえられないように、しっかり鍵穴を確保した皇子は、そのまま己の鍵を突き刺して、快楽の扉をひらいていく。

「あっ、もう……だめぇ」

 絶頂に至った撫子がくたりと聖岳の腕のなかで静かになる。
 すやすやと穏やかな寝息をたてはじめる婚約者を見て、聖岳はくすりと笑う。
 撫子の知らない場所で己の手を血色に染めた鍵の皇子は、手にいれた姫君を青い瞳に映しながら反芻する。
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