心の温度

悟side

ベンチで北川さんの結婚生活を聞いてから、1人で我慢して頑張ってきた彼女の事をいじらしく感じた。

家庭では大変だったのに会社ではそんな事は微塵も見せず仕事を完璧にこなしていたのかと思うと、何とも言えない切ない気持ちになった。

知恵と人生初の乗馬体験にチャレンジすると言い出した彼女。

ふと、こんな女性がお嫁さんならお互いを思いやりながら幸せになれるのではないか?と一瞬思ったが、彼女は社内でも人気者で高嶺の花的存在…

【経理課のマドンナ】が俺みたいなバツイチ子連れなんか相手にもしてもらえないんだろうなぁ…

乗馬体験のあとフラついて転びそうな彼女の腕を掴んだ時、彼女自身の香りを間近で感じた俺は、男として枯れていたものが甦るのを感じた。自分でもビックリし彼女の顔を見つめた。

俺、どうしちゃったんだろう…。
< 107 / 330 >

この作品をシェア

pagetop