心の温度
夜間救急病院に到着し、お父さんは啓太くんを抱っこし、俺は北川さんを抱きかかえて受付に向かう。
お母さんが受付で説明し、長椅子に寝てる北川さんを座らせお母さん方へ傾ける。

「真野さんがいて下さって本当に助かりました。啓太もビックリしてたでしょう。」

「啓太くんはうちへピンポンを押して、お母さんが倒れたから助けてって言ってきました。
本当に立派だったので、起きたら褒めてあげて下さい。
気が動転して体も震えてた啓太くんに『大丈夫だよ』と抱きしめたら落ち着いて北川さんを守ってました」

その話をきいたお母さんとお父さんはハンカチで涙を拭いていた。

名前を呼ばれたので俺が北川さんを抱きかかえ、お母さんと診察室へ
診察台に北川さんを横にして診察室から出ようとした俺に「ご主人もこちらへ座って下さいね」と椅子を出された。
お母さんを見ると、頷かれ椅子に座った。

お医者さんが北川さんを診察し始めた。
「お熱は38.6度…倒れた時に気を失ってたんですね。」
「はい。」
「血液検査をしてから点滴すると思います。」
「はい。」
「では採血は、あちらの部屋になりますので、ご主人さん、奥さんを移動お願いしてもらえますか?」

「はい」
処置室のような部屋のベッドに寝かせ看護師がカーテンをして採血する。
「検査結果を診てから点滴を始めますから、お待ち下さい」と言って看護師は出て行った。

「あの、僕はお父さんの方の待合室で待ってます。
啓太くんとお父さんをこちらへ案内しますね」

「すみません。真野さん」
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