心の温度
「いい案だと私は思うな」と知恵は即答した。

「あんな辛そうな顔をしていた啓太くんの為にもお兄ちゃんが一肌脱いであげたらどう?
彩音さんが傷付いたら元も子もないけど、お父さんとお母さんからのお願いなら彩音さんも納得すると思うけどなぁ」

「……もし、偽装恋人になった場合を考えたんだけど、【経理課のマドンナ】って有名な北川さんだから、社内の噂が凄い事になると思うんだ。だからかえって北川さんの負担にならないかなぁって…」

「じゃあ、恋人じゃあなく婚約者にすれば?
結婚が決まってる人に告白やアプローチはしないと思うけど…」

「婚約者? 北川さんは離婚したばかりだからそれこそ、北川さんが不倫してたのかって噂になるよ」

「そっかあ〜」

「俺もさ、病院で啓太くんの寝顔みたら啓太くんも北川さんも安心して生活して欲しいなって思ったんだよ。」

「大輔さんにも相談してみたら?」

「うん。明日電話して意見聞いてみるわ」

「うん。じゃあ、もう遅いから私は寝るね」

「ああ、話し聞いてくれてありがとう。」

「うん、おやすみなさい」

「おやすみ」

悟は知恵も後押ししてくれて安心した。
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