心の温度
こんなすれ違いの生活だが純一は
快適な生活のようで
マンションでは夕飯も作ったりしてくれる。

啓太が3歳になった頃
純一から
「なあ、彩音。旅館の仕事どう思ってる?」

「旅館? 大変なお仕事だと思ってるよ。
お客様への気遣いや気配り建物やお部屋、
大浴場の事やお料理…全てに神経を使って
純一の家族は凄いなと思ってる」

「うん。ありがとう。
この前さちょっと母さんが体調崩してさ
皆んなで相談したんだけど…
4代目の女将は結衣に継がせようかって
話し合ったんだよ…」

「え、お義母さん大丈夫なの?」

「うん。それは大丈夫なんだけどさ…」

「……」
純一は何を私に伝えたいのだろう。
ハッキリ聞いた方が良いのかなあ
「ねぇ、純一、何かあった?」

「え? イヤ、別に…ないよ」
と言って私の顔をジーと見てくる

「何? 顔になんかついてた?」

「イヤイヤ 何も付いてないよ」
そう言った純一の顔は
一瞬落胆したような表情になったように
感じたが、またいつもの純一に戻り

「風呂入ってくるわ」と言い浴室へ向かった。
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