心の温度

彩音は純一の今の本心がわからない…
夫婦ならもっと本音を言えばいいのだろうが
私達には目には見えない壁がある事を実感している。

ハッキリ聞いても…
きっと純一は本音を言わないだろう…
旅館の事を聞いてもいつもはぐらかす。
家族でこうしていても私は孤独を感じている。
結婚してから私の心はどんどん冷めていて
純一への愛情ももうカチカチに凍っていきそうだ…

こんな私の悩みは去年再婚した
幸せいっぱいの母親には相談できない…

私さえ我慢したらこのまま平凡な生活を
送って時間が過ぎていけば
丸く収まるのだろうか?

どうすれば良いのだろう。

最近啓太も3歳になったのでたまに保育ルームを
お休みして純一と2人で旅館へ遊びに行く。
私が会社から帰ってくると
お菓子やおもちゃをたくさん買ってもらい
ニコニコの啓太と純一さんがリビングで遊んでいて夕飯は旅館から頂いたおかずを食べる。

お礼の電話をしようとすると、
「母さんも忙しい時間だから電話しなくてもいいよ。俺から板さんにもお礼言ったしさ!」

「うん…じゃあメールだけでも入れるね!」

「ああ」
< 16 / 330 >

この作品をシェア

pagetop