心の温度

真野のお母さんは子供に聞こえないような小声で、
「彩音さんのお母さん、私も主人も彩音さんのような思いやりのある優しい女性が偽装じゃあなく本物の恋人ならいいのにって話してるんです。」

「本当ですか?私達もこの偽装の話しを悟さんに持ちかけた時から悟さんには本物の恋人になっていただけたら、みんなが幸せになるのにと思っているんです」

「だから、私とお父さんで、悟が居てもいなくても夕飯は啓太くんと彩音さんと七海の5人で食べる作戦を立てたんです。」

「なるほど〜」と塚田さんが感心して頷く。

「うちの悟も彩音さんも結婚で辛い思いをした同士。だからこそ分かり合えてお互い幸せになるよう支え合えると思うんですがね」とお父さんも話す。

「うちのあやは悟さんをどう思ってるのかしら…」

「うちの悟が彩音さんの良さがわからないようなら家から追い出してやる!」

「まぁまぁ。まだ1ヶ月ですし」と塚田さん。

「そうだ、お父さんとお母さんにはあの事をお伝えしなきゃ」

「何です?」とお父さん。

「彩音からプロジェクト開始した頃の連絡では、
今の佐藤建築工業で彩音の個人情報やウワサが流れたらしくて、プロジェクトのリーダーが悟さんとお付き合いを最近し始めたとわざと情報を流して、他の男性社員に牽制したらしいです。」

「まぁ〜そんな事になっているなんて悟は私達には何も話さないんですよ! もう!」

「じゃあ、会社のみなさんは悟さんと彩音さんは恋人だと思っているということかぁ〜
それなら…私達もくっつけるように仕向けましょうか」と塚田さん。

4人は小声の作戦会議でニヤニヤ。
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