心の温度
「彩音。啓太寝たし大事な話しがあるからリビングに来て」

「はい。」っと言って手を洗ってからリビングへいくと純一は寝室から鞄を持ってきた。

「彩音。座ってくれ」

「うん。大事な話しって何?…」

「うん。ふぅ〜……… あのさ俺と離婚して欲しいんだ。」

「え? 離婚?………」

「ああ。実は俺はさ〜結婚前から俺の妻は将来の女将にと考えてお前と結婚したんだけど…
お前は母親としては良いけどさ〜
顔はイイけどすべてが地味なんだよ

うちの両親とも相談したんだけどさ、
将来女将には相応しくないからサッサと離婚した方が良いって言われたよ。
だから別れてくれる?
これ離婚届と慰謝料ね。

今更かもだけど、俺としては彩音がもっと旅館の事に興味を持って欲しかったし、出来ないとしても旅館の掃除を手伝いに来るとかして俺をもっとたててくれるかなと期待してたんだよ
でも言われた事しかしないし会社は辞める気ないし…
ぶっちゃけさ〜俺も家族や旅館の従業員達にお前の事でイヤミを言われるのも嫌になったんだよ。

ふぅ〜マジでお前は美人だけしか取り柄がないんだよ!
気配りは出来ないし!
女としての魅力もあんまりないしさ〜
啓太産んでからさらに薄っぺらい体になって
セクシーさに欠けるっていうか…
もうお前を抱く気もないんだよなぁ〜」

「……どうしてハッキリ言ってくれなかったの?」

「ハハ。そういうところなんだよ!
言われないとわからない奴は俺ら家族には必要無いんだよ!ったく…」

「……さっき啓太には仕事でもう会えないって言っておいた。お前がこれにサインしたら俺は実家にこれから帰るしこのマンションも来月末で解約する事になってるから啓太と出て行ってくれ!
引っ越ししたらここの鍵は管理人に預けてくれ。
もう会う事もないと思う。
慰謝料もかなり弾んだつもりだからこれ以上は
出さないからな。後で揉めたくないからこの誓約書にもサインして」

彩音はジーっと純一の顔を見た
私を睨みつけている純一。
最後の最後に本心をぶつけられ、凍りついた愛情が粉々に砕けた瞬間だった。

彩音は急に冷静になったように感じた。

黙って誓約書と離婚届にサインをした。

「今までありがとうな。じゃあ元気で」
と言って準備していた大きなスーツケースを持ち
マンションを出ていった純一
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