心の温度
「はい?何ですか?」

「俺は君の事が好きになったんだよ……
もちろん、啓太くんのこともご両親も含めて…
だから、俺と本物の恋人に… いや!恋人じゃあなくて、奥さんになって欲しいんだ!」

「えっ!あの…それは偽装の恋人から本物へ?そして再婚?って事ですか?」

「うん。そう…もうさ、元クソ旦那の言葉で傷ついた北川さんを見たくないし、俺と七海と家族みんなで君を幸せにするから! 
信じて隣りで美味しいもの食べて笑顔でいて欲しいんだ!」

「………」暫く何も喋らないでこちらを見ているだけの彩音を見ていた悟は、

「ゴメン。北川さん…俺じゃあダメなんだね…」
と立ち上がり遊歩道を歩いて行こうとした。

私は、ハッ!として急いで立ち上がった主任の浴衣を、引っ張った。

主任はビックリした顔を私に向けた。

「あの…ちょっと頭の中が真っ白になっちゃって。
すみませんが、座って下さい……」

悟はまた彩音の方を向いて腰掛けた。

「主任、主任は本気で私と啓太と家族になりたいと思ってくれてるんですか?」

「ああ、本気だよ!」
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