心の温度

井上社長宅なのに


土曜日の午前中に自宅へ伺う約束をした悟と大輔。

「七海、啓太。今日は井上社長のお宅へお父さんとお母さんが結婚しますから結婚式に皆さんで来て下さいってご挨拶に行くからな。」

「お父さん、ユウちゃんち?」

「うん。そうだよ。」

「中川くんもいる?」

「いや、今日は会社がお休みの日だからいないかも知れないなぁ」

「ざんねんだね、啓太くん」
「うん。中川さんたくさん遊んでくれるから僕も大好き!」
「わたしも!」

彩音はふふふと微笑み、4人で井上不動産の社長宅へ向かう。

「ねぇ、悟さんは大学時代から井上家へよく行ってたの?」

「まぁ、時々かな。」

「やっぱり広いの?」

「うん。まるで高級旅館みたいな家」

「やっぱりセレブなんだね。副社長の奥様と社長の奥様もいるんだよね〜? 緊張する。」

「大丈夫だ。本当にいい人達で真央さんだって佐藤建築工業の設計室で事務してたし、そんな緊張しなくても大丈夫だって! ところでさ招待状は彩音が持ってるんだよな?」

「え、あ、ちょっと待って〜カバンに入れたはず…」とバックをガサゴソした彩音。

「あ〜ない!ゴメンなさい。電話の横に置き忘れた!」

車はまた自宅へ戻り悟が、招待状を取りに戻ったのを見ていたお母さんとお父さんはクスクス笑っていた。
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