心の温度

デートの王道

お母さんと塚田さんのマンションに着き、
荷物と子供たちを降ろすのも手伝ってもらった。

起きない2人を客間にお布団を敷き寝かせた。
 
リビングでお茶を飲みながら、井上家へ挨拶した報告もした。

「あやと悟さんは今夜は後輩さんたちとレストランなのね?」
「うん。私たちの結婚の報告なんだ。式には呼ばないから」
「出向前まで教育係をしてましたが、俺らが出向したから途中で放置したようなかたちになってしまったので…」
「そうですか。今日は僕と博美さんで七海ちゃんと啓太くんで楽しく過ごすので、安心して出かけて下さいね」
「ありがとうございます」
「あや、参列下さる方に招待状は渡せたの?」
「うん。渡したよ。あのね井上社長の奥様から入籍お祝いに電気圧力鍋をいただいたんだけど…お返しとかどうしよう」

「結婚式のお返しの品を一つ違うものもお渡ししたらどうかしら」

「そうかあ、佐藤社長も専務も同居だから違う物にした方がいいか」
「彩音、帰ってから父さんと母さんにも相談してから決めよう」
「うん。………それにしても子供たちぐっすり寝てるね」
「ああ。」
「2人とも、早めに出かけてデートでもしてきなさいよ。ね、祐二さん。」
「そうだね。準備して行っておいで」

「じゃあ、そうさせていただきます」と言って、
久しぶりのこの街で2人でデート……
私たちはデートしてない事に今更気づき、
「デートの王道はやっぱり映画だな!」と言う悟さんに私も大きく頷いて
駅近くのシネコンで映画を観に行く事にした。
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