心の温度

「あの、主任。今日はお2人で会社に用事でも…」

「あ、すまんすまん。渡辺、岸本さん。
この度、俺と彩音は入籍して結婚したんだ。
結婚式は内輪のみなので招待できないけど、可愛い後輩の2人には直接報告したくてさ。」

「は！主任とマドンナさんが？」
「え〜〜〜！！！せんぱい本当ですか？」
「うん。この通り」と言って結婚指輪を見せた。
「マジか………」
「美男美女夫婦……」
「でもな、2人にお願いがあるんだ。」

「「……」」と悟さんの言葉を待つ2人。
「2人もいろいろとウワサを知ってると思うけど、彩音は井上不動産の社内の男性社員からのアプローチが酷くて倒れたんだよ」
「ああ、出向辞令の直前の1週間お休みした時ですか？」
「ああ。副社長と社長が心配されて出向させたんだよ」
「それで……」
「今の佐藤建築工業でも井上不動産での彩音のウワサ話しが流れたりしてさ。だから俺たちが結婚した事は当分言わないで欲しいんだ。お願いします」と悟が頭を下げたので、彩音も頭を下げた。

「主任、俺も岸本も他人に話したりしません。な！岸本？」
「ハイ。絶対に先輩が辛くなるような事はしません！」
「ありがとう。2人とも…」
「ありがとう」