心の温度
スタッフさんがそれではブュッフェ式のお料理でございます。と声を掛ける。
大輔さんが1番で悟さんにビールを注ぎにきた。
「本当におめでとう!本当に2人とも幸せになれ!」と涙ぐむ大輔さん。
「ありがとう大輔…」と悟さんも私も涙目になっていた。
真央さんは深井主任や加藤さん山根さんと話しをして盛り上がっていた。ブュッフェのお料理をスタッフさん達も取り分けてテーブルまで運んでくれていた。親達もお酒を注ぎに回っていたが…
知恵さんと中川秘書がブュッフェコーナーの端で何やら話しをしているようだ。私も悟さんも気がついていた。
すると中川秘書が大声で
「ホントッスか? ありがとうございます!」
と知恵さんに抱きついていた。
大輔さんが中川さんの背中をバシっと叩き、
「お前、ご両親もいるのに知恵ちゃんに抱きつくな!」
「副社長!知恵さんがOKしてくれたんです!」
「ん? 知恵ちゃん、本当?」
「はい…」
「悟、おじさん、おばさん!知恵ちゃんと中川も結婚だって!」
「え、大輔さん!結婚の前のお付き合いを…」
「知恵、本当か?」と真野のお父さんが2人に近づくと
「知恵さんのお父さんでしょうか、私、井上副社長秘書の中川悠真と申します。知恵さんと結婚を前提に告白しまして、本日返事をいただきましたので、後日改めてご挨拶に伺います!」
「あ、はい。お待ちしてますよ。知恵良かったないい人のお嫁さんになるのが決まって〜」と乗り気なお父さん。
私と悟さんは顔を見合わせて微笑んだ。