心の温度
「まず、啓太、七海。おいで」と腕を広げた悟さん。
ちょっと戸惑いながらも悟さんの腕に抱きしめられた啓太と七海。
「啓太と七海と仁と彩音がいてくれるからお父さんは頑張れるんだぞ!ありがとう」とぎゅーと2人を抱きしめ2人の頭を撫でた。
「パパ!パパ!」
「仁もぎゅーか?」と抱っこ紐を外して仁を抱きしめる。
「彩音もな!」と言って私も仁と一緒にぎゅーと抱きしめた悟さん。
「さぁ、お父さんがデザインした美術館をみんなで見ようか。」
「「うん!」」と言って、仁を抱っこする悟さんについていく。
悟さんは本当に都市開発や大きなホールなどのデザイン建築が合っていて、あの佐藤リーダーのプロジェクト終了後、小さめなものを何件もリーダーとして成功させ、今では開発室の室長兼、建築家、設計士として出世した。
そして私は、産休と育休が終了してから経理課を退職した。
こんなにも素晴らしい幸せな人生…
感謝でいっぱいの気持ちになった彩音は少し涙ぐんだ。
悟さんが振り返って私を見た。
「やっぱり…本当に僕のお嫁さんは可愛いなぁ」と言って、私の肩を抱きしめこめかみにそっとキスをした。
反対側にいた仁が、ジーと見ていて悟さんのほっぺにキスをした。
「うわぁ〜熱烈な仁のキスはヨダレが…」
「くくく」と私はハンカチで悟さんの頬を拭いた。
悟さんと私は顔を見合わせて微笑んだ。
「彩音…俺は結婚してから心の温度は100℃だよ」
「私なんて毎日が幸せ過ぎて100℃以上かも」
「良かった…」と嬉しそうな悟さんだった。