心の温度


リビングへ2人で移動する

彩音は啓太を抱き抱えるように隣りに座りのぞき込むように啓太に話しはじめた。

「あのね啓太…それはね……お父さんがお母さんの事が大嫌いになったんだって…
啓太の事は大好きだけどお母さんの事が嫌いだからもう一緒にいたくなくてね…
お父さんとお母さんでお話ししてもう一緒に暮らさない事にしたから啓太に"もう会えない"って言ったんだと思う…

それでね〜……これからは啓太とお母さんだけで違うマンションで暮らす事になるんだ〜……
啓太、ゴメンね」

「う…ん。わかった! お父さんはいつもお母さんの悪口言ってたからイヤだったんだ僕……
旅館のお爺ちゃんもお婆ちゃんもゆいちゃんも皆んなお母さんの悪口言ってたんだ……だからお母さんの悪口言わないで!って言ったらお婆ちゃんが『啓太はお母さんとずぅーと仲良ししてあげてね』って…言われた……」

「そうかあ…お母さんを守ってくれてありがとう啓太。」
こんな小さな子が私の事を守ってくれたんだと思ったら泣けてきた。

「あ、お母さん泣かないで!僕がいるから」

「うん。ありがとう。啓太がお母さんを守ってくれたのが嬉しくて泣いちゃった。へへへ」

「もう! お母さん鼻水出てる〜!ティシュ」

啓太は彩音の腕からダッシュでティシュを持って私の涙と鼻水を拭いた。
マスカラがぐちゃぐちゃになったのか大笑いし始めた啓太

「お母さんのお顔面白い〜!ギャハハ」

「え〜ひど〜い お母さんお顔洗ってくる!」
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