心の温度
朝イチで新人の営業の社員が書類を持って入ってきた。
「あの〜、本山さんはどちらでしょうか…」

「ハイ?、北川に変わりましたが、私です。どうされましたか?」

「あ、すみません。これをうちの岩田が本山さんへ渡すように預かってきました!」

「営業1課の岩田さん?かな」

「ハイ、そうです。」

「じゃあ拝見しますね。………う〜ん。これは……
ふふふ。いくら何でもこれは〜私には無理だなぁ。書類はお預かりしますが、経理部長と営業部長で話し合ってもらうと岩田さんにお伝え下さい。」

「ハイ。わかりました!ありがとうございます!」

と新人君は元気良く帰って行ったが…
岩田さんはきっとこってり営業部長に絞られるような案件の書類だった。

すぐに部長へ書類を提出する

「部長、営業からとんでもない書類が舞い込んで参りました。お願いします」

「はい。どれ〜 は! え!何なのこれ…
あ、北川さんありがとう。営業部長とミーティングしてくるね」

「はい。お願いします」

席に戻ると隣りの席の岸本さんが体を私の方に寄せて小声で話しかけてきた。

「先輩、どんな書類なんですか?」
「岸本さんが見たら、泣き出しちゃうような書類かな」
「え?それって…いろんな下請けが絡みながらの〜結局大赤字とかですかね〜」
「お〜いい線いってる〜ふふふ」
「怖くて深く聞きたくありませんそんな案件は…」
「さ、今日も頑張ろう!」
「ハイ。頑張ります!」
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