エアラブまとめ

恋人は幽霊

「ちょっと抱き締めさせて」

大好きな先輩の腕の中に閉じ込められる。

「ち、近いですっ」

「離してあげないよ。君はすぐに消えてしまいそうで怖いんだ……」

今にも先輩は泣きそうな顔をしていた。

なんだかあたしまで辛くなって、思わず背伸びをする。

「っ」

先輩の柔らかい唇に触れた瞬間、我ながら大胆なことをしたと思う。

「あたしはいなくなったりしません。ずっと傍にいますから……」

「よかった……」

先輩は表情を綻ばせた。


あたしは大嘘つきだ。

先輩が受け入れてないことをいいことに、偽り続けている。

ーーもうこの世にいないのに……。
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